文部科学省科学研究費補助金 学術変革領域研究(A) 「実世界の奥深い質感情報の分析と生成」


D02-15 視覚質感から海馬空間表象への脳内変換機構の解明


北西 卓磨 東京大学大学院 総合文化研究科

「いま自分がどこにいるのか」という空間認識は、動物の生存に重要な脳機能である。ヒトを含む多くの動物は視覚を頼りに自己位置の推定をおこなう一方で、推定により生成された空間情報は高次脳領域である海馬に存在する。ところが、視覚に含まれる情報 ―とりわけ質感の情報― が、海馬の空間情報表現にどのように反映されるかは良く分かっていない。そこで本研究は、空間探索行動中の動物に対して、さまざまな質感の視覚情報を与えつつ、海馬と関連領域において大規模な神経活動計測を実施する。これにより、(1) 視覚野から海馬にいたる途中の脳領域における視覚質感の処理過程、および、(2) 視覚質感の海馬における符号化の様式、の2点を明らかにする。本研究は、視覚質感が海馬空間表象へと変換される深奥質感処理の実態を明らかにするものである。