D01-6 光線場の計測と投影によって投影対象の素材を置き換える質感操作
天野 敏之
和歌山大学
本研究は,深奥質感の「質感生成」に関連する研究として,「光学的に投影対象の素材を置き換える質感操作」を目的とする. いままでの空間型拡張現実感を用いた質感操作では,光沢感や透明感など,光学現象の特性(Attribute)に着目していたが,本研究は質感を創出する素材の物性(Physicality)の光学的な置き換えを試みる. しかし,単にプロジェクタでテクスチャを投影しても,物体の「元の質感」を正しく把握できることは想像に難くない. 本研究はこの理由として,投影したシーンを見るとき,プロジェクタからの投影に気が付けば光学的な関係や事前知識からプロジェクタからの投影と反射特性を分離でき,元の素材の認識が可能になるためであると考える.本研究はこの仮定に基づき,周囲環境との輝度差の補償,画素が知覚されない高品位・高精細な映像提示,視点移動に対応した配光分布の再現などを駆使することで,投影が知覚されなけれない光学操作を実現する.