D01-9 食品風味の深奥質感を解き明かす呈味・香気・食感の可視化・デジタル化技術の構築
田中 充
九州大学大学院 農学研究院 生命機能科学部門 食料化学工学分野 食品分析学研究室
ヒトは食品を咀嚼・嚥下する際に、口腔内に放出される呈味・香気成分を味覚・嗅覚(化学感覚)情報として検知するとともに、歯ごたえや舌触りといった食感を触覚(物理感覚)情報として検知しており、これらの感覚から食品の風味を認知して美味しさを評価している。しかし、現在の機器計測ではすべての風味成分と食感を一元化して捉えることはできず、風味が美味しさを決める機構は多くが不明である。本研究では、食品の風味・食感を完全にデジタル記録するための次世代技術を開発することで、呈味・香気成分の空間的な分布、ならびに食感を網羅的に可視化した「完全な風味設計図」の構築を目指す。これにより、化学感覚情報を客観的に表現可能となり、「美味しさ」という五感をフル活用した深奥質感の理解に大いに貢献できると考えられる。