D02-6 心理物理学・生理学的時間特性に基づく物質的/感性的質感間の階層構造モデリング
永井 岳大
東京工業大学 工学院
近年の研究から、物質の状態についての質感認識に関わるメカニズムがかなり明らかになってきた。しかし、網膜像から価値や好みなどの感性的質感に至るまでの脳内情報処理の時間的過程は、従来研究ではブラックボックス化され、その詳細がほとんど分かっていない。そこで、本研究では脳内情報処理における画像特徴/様々な物質的質感/感性的質感の間の時系列的な関連性を明らかにしていく。従来はSD法(意味差判別法)のような静的な手法で人の感性的質感の認識状態を計測する場合が多いが、この方法では質感認識の強さのみを計測するため、単に質感の間の相関関係しか推定できない。そこで、研究代表者らが物質的質感の研究を通して培ってきた心理物理学的な時間特性解析手法(応答時間/刺激時間系列の影響)と生理学的反応解析(脳磁場)の両側面から、質感認識の生起タイミングを手がかりとした質感間の時系列関連性のモデリングと、その神経科学的基盤の解明を目指す。