D02-13 質感運動知覚に寄与する神経基盤の解明
眞田 尚久
岩手県立大学 ソフトウェア情報学部
私たちは液体などの動きを伴う質感を,視覚運動情報のみから知覚することができる.これまでの研究から大脳視覚高次領野FST野神経細胞が,質感運動に対して選択的な応答を示すことが示されてきたが,質感運動に対する神経細胞の選択性を示しただけでは質感知覚と神経活動が寄与しているかは不明である.神経活動の質感知覚への寄与を示すためには,知覚判断と神経活動の間の因果関係を明らかにする必要があると考えられる.また,FST野細胞の質感運動選択性がどのような神経回路によって実現されているかは明らかでない.神経回路を理解するためには,異なる領域間/神経細胞同士の特性の違いや相互作用を詳細に調べる必要がある.
本研究では質感運動刺激による順応効果を用いた人の心理物理実験と脳波計測,深層学習モデルの解析を組み合わせることで,知覚と神経活動の因果関係を明らかにし,質感知覚の神経回路を理解する.