領域メンバーの加藤大典さん(大澤班/大阪大学)らの論文がPhilosophical Transactions of the Royal Society Bにオンライン掲載されました

加藤大典さんら(大澤班;大阪大学大学院 生命機能研究科/CiNet)の論文がPhilosophical Transactions of the Royal Society Bにオンライン掲載されました

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近年Deep Neural Netが脚光を浴びていますが、その階層構造の基本要素であるプーリングの効果を、ステレオ立体視の観点から、動物の大脳の視覚野細胞において調べました。
この研究では、ステレオ立体視のための脳内情報処理において「両眼の間で比較される情報は何か?」という根源的な問題を再提起しています。
従来は、両眼の画像特徴の「位置ずれ」である両眼視差を正確に検出することが、ステレオ立体視の基本的原理であると考えられてきましたが、この論文では左右の画像を「波」(wavelet)として分解した時の成分が、両眼間で比較されるという考えを提唱しています。プーリングは、waveletのパラメータのすべてについて、両眼マッチングをよりシャープにする効果があることを発見しました。このようなメカニズムにより、ヒトや動物の奥行き知覚(3次元空間での面の傾きを含む)の高い精度や分解能が実現されていることが示唆されます。

図は本研究において従来のプーリングの概念を拡張した「一般化されたプーリング」を示しています。

V1-pooling.jpg

論文へのリンク:
http://rstb.royalsocietypublishing.org/content/371/1697/20150266.abstract
日本語解説:
http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/jpn/events/achievement/kato-ohzawa-20160607/

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雑誌:Philosophical Transactions of the Royal Society B
タイトル: Effects of generalized pooling on binocular disparity selectivity of neurons in the early visual cortex
巻号:vol.371 DOI:10.1098/rstb.2015.0266
著者:D Kato, M Baba, KS Sasaki, I Ohzawa

*この論文は、"Vision in our three-dimensional world" (3次元世界における視覚) と題された特集号に掲載されています。