文部科学省科学研究費補助金 学術変革領域研究(A) 「実世界の奥深い質感情報の分析と生成」


D02-8 深層学習と脳波から見る感性的質感生起における物質的質感の役割


永井 岳大 東京工業大学 工学院 情報通信系

質感は、物体の状態に関する物質的質感と感性を反映する感性的質感に大別される。感性工学分野では、物質的質感が感性的質感の基盤になるという階層構造が仮定される場合が多い。しかし、わざわざ光沢感のような物質的質感認知を経由しなくとも、例えば美しさのような感性的質感認知は、網膜像の特徴から直接惹起する可能性もあるのではないだろうか。この可能性を探るには、従来のように意味差判別法のような静的心理学的手法で人の質感認知状態を計測するだけでは不十分である。そこで本研究では、物質的質感と感性的質感の因果関係を多角的アプローチで明らかにする。具体的には、以下の3点が本研究課題の目的となる。【目的1】様々な「質感」の間の神経科学的階層性を脳波解析から解明する。【目的2】深層学習モデルにおける質感的情報表現の階層性を解明する。【目的3】マルチモーダル心理物理実験により質感判断の因果性を解明する。