D02-10 音の生得的/後天的情動価値を符号化する神経回路の解明
伊藤 哲史
富山大学
音の質感を考えるうえで欠かせないのが快・不快といった価値情報である。生得的に快・不快感を与える音とそうでない音が存在するということは、音の分類が脳内で行われ、個々に情動価が付与されることを示唆する。音の分類の神経回路は中脳の下丘から聴覚野に至る聴覚伝導路であり、ここでは音の分類が地図表現(音分類地図)されている。一方、分類された音に価値を付与する神経回路、すなわち音分類地図と価値情報の回路を相互につなぐ神経回路は大枠でしかわかっていない。本研究計画は、(1)音の生得的価値の判定、(2)音分類地図への情動価の割り当てを行う神経回路の可視化、(3)生得的価値をもつ音に対して働く音分類回路の可視化、(4)音分類回路の個別要素の操作による、情動反応発生時の役割の解明、からなる。これらの実験からどのような神経回路が音の質感に情動価を付与するかについて解明する。