D02-15 多次元感覚情報から価値と意思決定への神経機構
鮫島 和行
玉川大学 脳科学研究所
多様で多次元の質感情報の中で、意思決定に重要な価値関数に必要な情報を抽出する能力は、不確実で非定常な環境での生存に重要であり、進化を通じて神経機構の中に実装されている。従来の意思決定研究では、この様な情報抽出はすでにされたものとして扱われ、価値から行動決定までの研究が進んでいる。一方視覚的注意などの感覚系研究では価値情報を操作することによる影響は調べられてきていない。本研究では、多様で多次元の感覚情報から価値の基底をなす関数を大脳皮質と大脳基底核の神経回路で統計的に抽出する、という新しい仮説をたて、その計算論的仮説を検証するための、行動学的実験、神経生理実験を実施することにより、質感から価値への効率的な変換の神経メカニズムの解明にアプローチする。多次元の質感から低次元の状態のみに価値が連合する課題を学習中の大脳皮質・大脳基底核の神経情報表現を探索し、明らかにすることでこの謎に迫る。