D02-17 匂いを多次元的価値に変換する神経回路機構の解明と質感の客観的評価法の構築
眞部 寛之
奈良県立医科大学 第一生理
脳は匂い情報と様々な価値情報を結び付け、外界の匂いモデルを脳内に構築する。しかし、その神経回路機構は不明である。これまで申請者は、嗅皮質の一領域である外側嗅索核(NLOT)が、匂い情報を分類し、それに報酬情報を連合することを発見した。この結果から申請者は、NLOTは匂い情報に様々な価値情報を付加し、価値回路への情報分配を調整することで、匂いの質感を生み出す多次元的価値情報を表象するのではないかと考えた。本研究は、行動解析、電気生理学的手法、光遺伝学的手法、化学遺伝学的手法を有機的に組み合わせ、この仮説を検証する。また、マウスが質感経験をする際の身体指標から質感を客観化する指標を構築し、ヒトの質感研究につなげる基盤研究を展開する。本研究を通じて、感覚情報に価値情報を多次元的に付加する神経回路機構の基本的法則を明らかにし、深奥質感を生み出す神経回路の解明を目指す当該研究領域の発展に貢献したい。