文部科学省科学研究費補助金 学術変革領域研究(A) 「実世界の奥深い質感情報の分析と生成」


D02-20 認知情報に基づく触感覚認識とその背景にある神経機構の解明


窪田 慎治 国立精神神経医療研究センター 神経研究所 モデル動物開発研究部

我々は、運動行動を介して受容される筋や皮膚などの感覚情報をもとに、対象物の硬さや肌触り、重さを認識する。この時、物体に触れることにより生成される触質感は、個人の経験や価値などの認知的要素によって変化する。例えば、幼少期に遊んでいた人形が持つ触質感は、その人形の所有者にしか分からない感覚である。このように、我々の触質感は、対象物の物理的性質とは別に、その物体の価値や個人の経験など認知的側面の影響を受ける。しかし、このような認知的要素に応じた体性感覚情報の処理とそれを担う神経機構については明らかにされていない。 本研究は、中枢神経系において物体が持つ形状の特徴抽出に深く関与すると考えられている延髄楔状束核に着目し、対象物に対する価値や記憶など、認知的情報に応じた触覚信号の調整を行う神経機構を明らかにすることを目指している。