D02-1 質感認知に呼吸が影響を与える神経メカニズム
國松 淳
筑波大学
美しいものをじっと観察することを「息を呑んで見入る」と表現するように、私たちは呼吸を操作することで無意識に微細な深奥質感を認識しているのかもしれない。近年になって、呼吸の位相によって揺らぐように感覚認知が変化することが心理学研究によって示唆されているが、一方でその基盤となる脳メカニズムは未だ不明である。本研究課題では、申請者がこれまで高次脳機能の神経機構を研究してきた技術や経験を生かし、行動課題遂行中の非ヒト霊長類の呼吸のモニターと電気生理学手法を組み合わせることで脳内の質感情報処理が呼吸位相によって影響される過程を解明する。これによって、これまで経験則に基づいて論じられてきた呼吸と感覚認知の関係を神経生理学的に理解し、深奥質感認知における呼吸の寄与を明らかにする。