D02-2 彩色によるリアリティとその限界の脳内メカニズム
栗木 一郎
埼玉大学大学院 理工学研究科
白黒画像に彩色をするとリアリティが増し,例えば70-80年も前の白黒のムービーがつい最近の動画のように感じられる.このリアリティはなぜ生じるのか?白黒の写真に彩色する際に,理論的な正解は存在しないが,色を付けすぎると物体の見え方が不自然になり,発光しているように感じられることが知られている.この現象は,物体にスポットライトを当ててその輝度を単独で上昇させると光っているように見える(光源色モード)現象と類似している.従って,物体色の彩度や輝度には何らかの限界が存在し,その限界を突破すると反射表面として認識されなくなり発光を知覚していると予想される.では,その「限界」はどのようにして決まっているのだろうか?本研究では,自然に見える色の鮮やかさに焦点を当て,自然画像における彩度の限界とその獲得機序について,心理物理学的手法や脳機能計測,計算モデルなどを組み合わせて研究する.