文部科学省科学研究費補助金 学術変革領域研究(A) 「実世界の奥深い質感情報の分析と生成」


D02-3 国際コミュニケーションと顔質感認識


溝上 陽子 千葉大学

顔の色や質感は、年齢、健康状態、審美性など、人間にとって重要な判断に大きく関わり、社会的なコミュニケーションにも重要である。しかし顔色の認識特性は、顔の色相が肌の明るさ認識に影響するなど、従来の色彩学の知見が当てはまらないことが多い。これは、何らかの視覚の補正メカニズムが働くためであり、機能的な意味があると考えられる。人種や文化により表情の現れ方や顔色変化の仕方が異なるため、顔の色や質感認識と情動認識の関係にも国際的な環境や文化の違いが影響する可能性がある。本研究では、顔特有の色・質感認識のメカニズムの要因として、環境的要因(各人種の肌色分布に応じた知覚特性)、社会的要因(情動認識に有利な知覚特性)、文化的要因(化粧や嗜好性等の影響)の観点から検証する。顔の色認識特性に関わる要因を明らかにすることで、顔の色・質感認識メカニズムの解明、グローバルコミュニケーションや産業への貢献を目指している。