文部科学省科学研究費補助金 学術変革領域研究(A) 「実世界の奥深い質感情報の分析と生成」


D02-6 視覚質感から海⾺−嗅内野空間表象への脳内変換機構の解明


北西 卓磨 東京大学大学院総合文化研究科

「いま自分がどこにいるのか」という空間認識は、動物の生存に重要な脳機能である。多くの動物は視覚を頼りに自己位置の推定をおこなう一方で、推定により生成された空間情報は高次脳領域である海馬に存在する。しかし、視覚に含まれる情報 ―とりわけ質感の情報― が、海馬の空間情報表現にどのように反映されるかは分かっていない。そこで本研究は、空間探索行動中の動物に対して、さまざまな質感の視覚情報を与えつつ、海馬と嗅内野 (視覚野と海馬を中継する脳領域) において大規模な神経活動計測を実施する。これにより、視覚野から海馬にいたる脳領域における視覚質感の処理過程および符号化様式を解明する。とりわけ、①単一細胞における情報表現にくわえて、②細胞間情報伝達、および、③細胞集団による情報表現まで明らかにする。これにより、視覚質感が海馬空間表象へと変換される深奥質感処理の実態を明らかにする。