文部科学省科学研究費補助金 学術変革領域研究(A) 「実世界の奥深い質感情報の分析と生成」


D02-7 ヒトの脳における初期の匂い表象の解明ー末梢入力および行動との関係


岡本 雅子 東京大学大学院 農学生命科学研究科応用生命化学専攻 生物化学研究室

嗅覚は化学感覚であり、ある匂いがヒトにどのような影響を及ぼすかは、脳における匂い物質の化学的特徴のコーディングに依存するはずである。しかしヒトの脳における匂いの表象、とりわけ脳での処理の初期段階における低次な特徴の表象については、まだ不明な点が多い。本研究では、匂い呈示時のヒトの脳活動を、時間的精度に優れた脳波により計測し、機械学習を用いて解析する。これまで知見が少なかった、匂い呈示後500ミリ秒以前に着目し、化学構造など、匂いの低次の特性の神経表象を明らかにすると共に、初期の表象が、その個人の匂いに対する身体反応などとどのように関連するかを明らかにする。これらにより嗅覚における「深奥質感」の背後にある神経基盤の理解を目指す。