文部科学省科学研究費補助金 学術変革領域研究(A) 「実世界の奥深い質感情報の分析と生成」


D02-13 正確に記憶に残る視覚質感とは何か:画像記憶容易性と長期記憶バイアスの定量的解析


齋木 潤 京都大学大学院 人間・環境学研究科

視覚質感の長期記憶は画像の知覚的・感性的質感情報に還元できないことがわかっている。また、質感の長期記憶にはバイアスがある。画像を媒介としたコミュニケーションの有効化には視覚質感の記憶容易性とバイアスの関連を定量的に解明することが不可欠である。本研究は、視覚質感のスタイルに焦点を絞り、画像のスタイル変換技術と長期記憶の連続報告法を用いて、記憶に残りやすく、かつバイアスの少ない質感表現の特性を明らかにすることを目指す。DNNを用いた画像の記憶容易性の推定、画像生成AIを用いた画像の定量的変換技術、長期記憶の定量的測定法である連続報告法、画像の知覚、感性、意味情報を反映する眼球運動データの解析を組み合わせることで、記憶容易性とバイアス、及びその相互作用の規定因を明らかにする。将来的に正確に記憶に残りやすい画像表現スタイルを用いた記憶支援システムを構築するための理論的基盤を確立する。